ドル/円は米雇用統計消化、株崩れるリスク警戒

今週の外為市場でドル/円は、先週末に発表された米雇用統計の内容を織り込みながら、米国の金融政策の方向性を探る展開になりそうだ。雇用統計がイースター休暇中に発表されたこともあって、週初は休場明けの株式市場の反応に振らされる可能性がある。

週後半にかけて主要な経済指標の発表がなく動きづらくなるとの見方もあり、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で米国の利上げ時期を見極めたいとの思惑も出やすい。

予想レンジはドル/円が118.00─121.00円、ユーロ/ドルが1.0700ー1.1050ドル。

<米国の利上げ時期見極め>

先週末発表の米雇用統計は弱い数字となり、ドルが急落した。非農業部門の雇用者数は、市場予想の24万5000人増の約半分の水準にとどまる12万6000人増で、2013年12月以来の小幅な増加となった。

失業率は前月から横ばいの5.5%で市場予想と一致するなど「内容は必ずしも悪くないが、ヘッドラインの強烈な印象 に引きずられた面がある」(国内金融機関)との声が出ていた。イースター休暇で米国の株式市場が休場、債券市場が短縮取引だったこともあり、雇用統計の内 容を完全に消化するまでには時間がかかるとの指摘もある。

IG証券のマーケット・アナリスト、石川順一氏は、今週以降、米欧を中心とした世界の株式が明確に下値を模索する動 きとなれば「円買いがドル買いを上回り、クロス円での円高圧力が強まるリスクがある」との見方を示し、その場合ドルは118.00円付近がいったんの下値 めどになるとみている。

もっとも、株式市場の反応が織り込まれた後は、動きは取りづらくなるとの声も出ている。三菱UFJモルガン・スタン レー証券のチーフ為替ストラテジスト、植野大作氏は「雇用統計が強くても弱くても、4月のFOMCは『忍耐強く(patient)』の守備範囲内なので利 上げは始まらない」と指摘。市場が冷静さを取り戻せば、再び米国の経済指標を慎重に見極めていく局面に戻るとみている。

米国の利上げ時期をめぐっては、8日に発表されるFOMC議事要旨が材料となる可能性もある。市場では「主要な経済指標の発表がないので、議事要旨でメンバーの認識を確認したい」(国内金融機関)との声が出ていた。

<日銀決定会合は無風通過か>

8日には、日銀の金融政策決定会合の結果発表と黒田東彦総裁の会見が予定されている。金融政策の据え置きがコンセンサスとなっているが、先般発表された短観が総じて弱い内容だったことを受け、日銀や黒田総裁の景気判断に変化がみられるか注目されるという。

日銀は4月30日にも決定会合を行い、半年に一度の「経済・物価情勢の展望(展望レポート)を公表する。マネースク ウェア・ジャパンのシニアアナリスト、山岸永幸氏は「展望レポートの結果を踏まえて政策変更の是非が議論されるとみられ、注目度は30日の方が高い」と指 摘する。

先週は、自民党・山本幸三衆議院議員の発言が話題となる場面があった。山本議員はロイターとのインタビューで、短観 など最近の経済指標を踏まえた景気情勢には足踏み感があり、注意が必要だと指摘。展望リポートが公表される30日会合が、追加緩和に「良いタイミングだ」 との認識を示した。

市場では「短観で追加緩和の期待は高まっていないが、こういう発言が伝わると思惑も出てきやすい。統一地方選も終わ り、展望リポートのタイミングなので一つの可能性としてはあるかもしれないが、日銀の黒田総裁は賃金の動向を見極めたいとの思いもあるはずなので、4月は 早いのではないか」(邦銀)との声が出ていた。

 

円安はアベノミクス目的ではない、大胆金融緩和の結果

安倍晋三首相は30日午後の参議院予算委員会で、アベノミクス推進に伴う円安進行について、円を安くすることが政策の目的ではないとし、日銀による2%の物価安定目標の実現をめざした大規模な金融緩和の結果だ、との認識を示した。大塚耕平委員(民主)への答弁。

安倍首相は為替動向について「われわれの政策は円を安くすることを目的としているのではない」とし、「あくまでも2%の物価安定目標に向けて大胆な金融緩和を行っている結果として、現在の為替相場になっていると思う」との見解を示した。

また、政府と日銀による共同声明を踏まえ、日銀による2%の物価安定目標が「うまくいかなければ、(日銀が)説明責任を負う」とし、目標実現に向けた道筋などについて政府に対して説明する必要がある、と語った。

<大規模緩和の長期化、金融システムへの影響に考慮必要>

委員会に同席した黒田東彦日銀総 裁は、円安が日本経済に与える影響について、輸出の増加やグローバルに展開している企業の収益改善、株価の上昇などプラス効果がある一方、輸入コストの上 昇とその価格転嫁を通じて非製造業の収益や家計の実質所得の下押し圧力となると述べ、「影響は経済主体によって異なる」と語った。

その上で「経済や金融のファンダメンタルズを反映したかたちであれば、全体として景気に悪影響が及ぶことはない」と 指摘。「為替市場の動きには十分に注視が必要」としながら、「金融緩和の目的はあくまで物価安定目標の達成であり、為替レートをターゲットにしたものでは ない。金融政策で為替レートを動かそうとか、特定のレンジに持っていこうというものではない」と強調した。

また、行き過ぎた金融緩和の副作用に関して黒田総裁は「大幅な金融緩和が長期にわたってつづくと金融システムへの影響も十分に考慮しなくてはならない」とし、「金融システムへの影響を十分に注視し、金融機関の強気化で行き過ぎた状況にならないよう、どこの中央銀行も配慮している」と語った。

黒田総裁は、 物価連動国債から算出される市場の予想物価上昇率であるブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)が昨夏以降、年初にかけて低下したことについて「原油価 格の下落が若干影響している可能性がある」と指摘。BEIは予想物価上昇率を分析する上で重要な指標との見方を示しながらも「BEIだけに頼って決め打ち するのは難しい」とし、他の市場関連指標や各種のアンケート調査などで総合的に判断することが必要との認識を示した。

 

10─12月期GDPギャップは‐2.3%、マイナス幅縮小

内閣府は25日、2014年10─12月期の2次速報値を反映した国内総生産(GDP)ギャップはマイナス2.3%となり、7─9月期のマイナス2.6%からマイナス幅が縮小したと発表した。実質GDP成長率が前期比年率でプラス1.5%と、潜在成長率0.6%を上回ったことによると説明している。

今回発表のGDPギャップが1次速報に基づく試算値マイナス2.2%から下方改定となったのは、10─12月期の実質GDP成長率が前期比年率プラス2.2%からプラス1.5%へと下方改定されたため。

2014年のGDPギャップはマイナス1.7%となり、2013年のマイナス1.0%からマイナス幅が拡大した。2014年の実質GDP成長率がマイナス0.0%と潜在成長率0.6%を下回ったためという。

 

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