円安「官製相場」とは幻想ではないのか?

8月 26th, 2014

8月21日付け日経新聞に「円安、背後に公的マネー」という記事があった。米金利低下でもドル安・円高が限定的になり、一転して1月のドル高値・円安値へ向かいかねない展開となったのは、公的マネーの演出による「官製相場」なのか。幻想ではないか。

◆代表的円安誘導の成功局面とは「真逆」

歴史的「官製相場」の代表例は1990年代半ば、超円高反転の「榊原円安」ではないか。当時、財務官に次いで為替政策の実質的「ナンバー2」の責任者だった榊原財務相国際金融局長が主導したとされる超円高是正の円安誘導政策だ。

当時の榊原国金局長の上司であった加藤財務官の在任中の為替介入額の一日平均は3000億円弱だった。それが、超円高是正を劇的に成功させた「榊原円安」という官製相場の為替介入における「コスト」だった。

これに対して、2011年、再現した1ドル=100円突破の円高、「超円高」の是正という「官製相場」は、玉木、中尾の両財務官時代に直面したもの。この 両財務官時代の一日平均介入額は2兆円前後にも達していた。超円高是正という「官製相場」の為替介入における「コスト」は、10年以上を経て6~7倍に急 騰していたのである。

コストは差があったものの、1995年も2011年も円安誘導の「官製相場」は成功した。それは、1995年も 2011年も円の総合力を示す実効相場の5年移動平均線からの乖離率は、経験的に円高の限界に達していたという意味では、そもそもコストの多寡とは別に、 行き過ぎた円高の修正が「きっかけ待ち」だったことが重要だったのではないか<資料参照>。

※<資料>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=704438

では最近はどうか。1995年や2011年のように円安誘導の「官製相場」は可能なのか。しかし、円実効相場の5年線からの乖離率は、上述の1995年、2011年とは正反対に、むしろ円安の限界圏にある。

それでも円安誘導の「官製相場」は可能なのか。可能にするなら、少なくとも優位な環境でも円安誘導に四苦八苦した2011年から、さらに数倍の膨大な「コ スト」が必要になりそうで、それは一日平均10兆円以上、つまり1000億ドル規模の「公的マネー」になるだろう。それが無理なら、円安の「官製相場」は 単に時間稼ぎの幻想だろう。(了)